2026 新春号 Vol.134
営農レポート
コマツナ・ホウレンソウの総合防除技術の事例集を作成しました
コマツナ、ホウレンソウは北多摩北部地域で生産量が多く、主要な農産物です。これらの品目は東京都エコ農産物の認証を受けている生産者も多く、化学合成農薬だけに頼らない病害虫防除技術への関心の高さもうかがえます。
そこで、普及センターでは総合的な病害虫防除技術の実用性を評価し、コマツナ、ホウレンソウで各4技術と、技術の組み合わせ各1事例の計10事例をまとめました(図1)。
今回はこの中から、コマツナとホウレンソウの防除技術各1事例を紹介します。
赤色防虫ネット及び太陽熱消毒による害虫・雑草防除(施設コマツナ)
施設コマツナでは、アザミウマによるかすれ状の被害(シルバリング)が多発することがあり、商品性の低下を招きます。アザミウマは幼虫、成虫ともに食害しますが、微小な害虫であり、施設への侵入に気付いた頃には被害が大きくなっていることが多いです。また、アザミウマは農薬への抵抗性が報告されており、農薬だけに頼らない防除が肝心です。
そこで、アザミウマの侵入防止効果が高い「赤色防虫ネット」と、土中の蛹を防除する「太陽熱土壌消毒」を組み合わせ、防除効果を検討しました(図2)。
慣行(白色防虫ネットを展張したハウスを用い、土壌に灌水やビニル被覆をしない。開口部を閉め切る)と比較して、赤色防虫ネット+太陽熱土壌消毒の組合せでは、ハウス内のアザミウマ数が少なく、被害も低減させることができました。また、コマツナの生育を阻害したり、微小害虫の温床となったりする雑草の発生を抑制することができました(図3)。
ホウレンソウべと病に対する抵抗性品種の検討(施設・露地ホウレンソウ)
10~12月にかけて播種するホウレンソウでは、べと病の発生が問題となっていました。べと病は、病原性が異なる「レース」が多数存在し、防除を困難にしています。そこで、多くのレースに抵抗性を持つ2品種について特性を調査しました。
今回はレース1~19に対し抵抗性を持つ「スーパーセーブ(サカタのタネ)」、「エクストリーム(トキタ種苗)」の2品種について調査しました。10月上旬にユニフォーム粒剤を全面土壌混和した露地ほ場に、10月中旬に各品種を播種し、トンネル被覆をしました。10月下旬に雨よけビニルを展張して栽培し、12月上旬に収穫調査しました。どちらの品種もべと病は発生しませんでしたが、特性に違いが見られました(表1、2、図4)。作業性を重視したい場合は立性で軸の折れが少ない「スーパーセーブ」、収量を重視したい場合は大株で揃いが良い「エクストリーム」がオススメです。
べと病は発生後の防除が難しい病気です。新しいレースまで対応している抵抗性品種の使用の他、厚播きや多肥栽培を避ける、換気などにより適切な湿度管理を行う、発病株はすぐ圃場の外に持ち出すなどの耕種的防除を行うと共に、ユニフォーム粒剤の使用などの予防的な薬剤散布を徹底しましょう!
(上段:スーパーセーブ、下段:エクストリーム)
これらの技術についての詳細を知りたい、ご興味、ご質問がある方は、普及センターまでお問合せください。
「みどりの食料システム戦略」が策定され、農薬だけに頼らない病害虫防除技術がより一層重要になると考えられます。普及センターでは、今後も技術の検証や提案を行っていきます。