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2025 秋号 Vol.133

営農レポート

ウレンソウ栽培の見逃しやすいポイント

ホウレンソウの在圃期間(播種から収穫終了までの期間)は1~2か月程度と、野菜の中では短い部類に属しますが、適切な栽培管理をすることによりさらに短くすることができます。在圃期間が短くなれば次作の播種を早められ、年間の作付け面積の増加(ハウスの回転率の向上)につながります。また、ホウレンソウの病害虫の中には、薬剤散布に頼らず土づくりで対策できるものもあります。今回は見逃しがちな「在圃期間を短縮するポイント」と「土づくりによる病害虫対策」について説明します。

在圃期間を短縮するポイント(ハウス栽培中心)

在圃期間が長くなってしまう原因は、生育ムラによる収穫期間の間延びにあります。ホウレンソウの生育を揃え、収穫を短期間に行えるようにしましょう。生育ムラを防ぐポイントとして、播種前後に適切に灌水を行い、圃場全体に均一に水分を行き渡らせることが重要です。水はけの良否にもよりますが、6時間程度が目安です。均一に灌水を行うポイントは以下のとおりです。

1 灌水チューブを使った均一な灌水の方法

灌水チューブを使ってムラなく灌水するには、水圧を調整して水の飛距離を変えるのが効率的です。圧を高めればチューブから離れた場所を、弱めれば近くを灌水できます。施設の両脇にチューブが設置されている場合は、片側のチューブから灌水したのち、もう片側からも灌水し、最後に両側のチューブから同時に灌水することにより、圃場全体に均一に水分をいきわたらせることができます(図1)。

図1 圃場に均一に灌水する方法の例

2 灌水装置のメンテナンス

フィルターや灌水チューブの掃除を怠ると、水圧が変わり、均一な灌水ができなくなる可能性があります。灌水チューブに接続しているフィルターは、定期的に掃除を行いましょう。灌水チューブについても、チューブ内に小さなスポンジや専用ブラシ等を通して流し、詰まりの原因となるコケ等を落としましょう。
また、灌水チューブの噴出孔の目詰まりやホースの破れによっても均一に灌水をできなくなります(図2)。灌水設備に水が噴出しない個所や、破損による水漏れ等が無いか、使用に当たってよく確認し、必要に応じて補修してください。

3 雨水のしみ込み防止

雨が降ったときに、ハウスの外から水がしみ込んでくることはありませんか?ハウス外からの水分がしみ込むことによっても圃場の水分量が不均一となり、生育ムラの原因となります。しみ込みが確認される場合は、ハウスの外側に溝=明渠(めいきょ)を掘って、ハウスに水がしみ込んでこないようにしましょう(図3)。

図2 灌水装置の故障による灌水ムラ
図3 ハウス外側の明渠

土づくりによる病害虫対策

農薬散布だけに頼らずに、土づくりによって病害虫対策を行うことができます。今回は以下の2つの事例について紹介します。

1 ホウレンソウケナガコナダニの対策

ホウレンソウケナガコナダニは未熟な有機物をエサにして増殖します。土づくりのために使用する堆肥は、完熟のものを選びましょう。また、本害虫が多発する圃場では有機質肥料の使用を控え、化学肥料(硫安など)を選んで使いましょう。

2 ホウレンソウ萎凋病の対策

ホウレンソウ萎凋病の防除方法としては土壌消毒剤の使用が一般的ですが、石灰資材を散布して土壌pHを高めることで病害を発生しにくくすることもできます。pH7.5前後の土壌では萎凋病はほとんど発生しなくなります。ホウレンソウは比較的高いpHを好むので問題ないですが、多くの作物はpH6.0~pH6.5を好むとされているので、後作に別の品目を育てることを考え、pH6.5を下回らない程度を目標に土壌矯正すると萎凋病の発生を一定程度抑えることができます。