2024 夏号 Vol.128
営農豆知識
「指定野菜」に追加されるブロッコリーについて
ブロッコリーは茎の先に緑色の小さい花のつぼみがたくさんでき、これを収穫して利用する野菜です。最近、ブロッコリーが2026年度から「指定野菜」に追加されることが話題になりました。「指定野菜」とは、消費量が多く(図1)、国民の食生活に欠かせない重要野菜として、国が指定して安定供給を目指す品目のことです。現在の指定野菜は、(表1)の14品目です。そこで今回は、JA東京みどり管内でも栽培が盛んなブロッコリーについて少し調べてみました。
表1 現在の指定野菜(14品目)
果菜類 | トマト、ナス、キュウリ、ピーマン |
葉茎菜類 | キャベツ、ハクサイ、レタス、ホウレンソウ |
ネギ類 | ネギ、タマネギ |
根菜類 | ダイコン、ニンジン |
イモ類 | サトイモ、ジャガイモ |
図1 東京都中央市場入荷量の推移
原産地は
地中海沿岸などに分布する野生のキャベツから、現在の結球キャベツやブロッコリー、カリフラワーなどが、紀元1世紀前後からの長い年月をかけ、イタリアで育成、改良されたといわれています。
日本に入ってきたのは
ヨーロッパやアメリカに広まったあと、明治の初めころにキャベツ、カリフラワーとともにブロッコリーも我が国に入ってきたようです。しかし、当時はあまり普及せず、戦後の食の洋風化にともなって急速に栽培が増加しました。
全国の産地は
令和5年の東京中央市場入荷量の上位5地区を見ると、①北海道、②香川県、③熊本県、④愛知県、⑤長野県の順になっており、この5地区で年間入荷量の約7割近くを占めています。
東京都内の栽培は
都内では昭和30年代に三鷹市で、従来の秋作(ダイコン、ハクサイ、ツケナ)が環境の悪化や病害虫の多発等で生産が不安定になってきたのを契機に、カリフラワー、ブロッコリーに着目、産地化が進みました。現在の作付け面積は、立川市がトップになっています(表2)。
表2 区市別のブロッコリー作付け面積順位
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
平成元年 | 三鷹市 | 練馬区 | 世田谷区 | 立川市 | 八王子市 |
10年 | 三鷹市 | 練馬区 | 世田谷区 | 立川市、小平市 | |
18年 | 三鷹市 | 練馬区 | 立川市 | 小平市 | 世田谷区、足立区、西東京市 |
30年 | 立川市 | 練馬区 | 町田市 | 八王子市 | 三鷹市 |
令和3年 | 立川市 | 練馬区 | 町田市 | 八王子市 | 三鷹市 |
ブロッコリーの仲間は
スティックセニョールの名前で知られている茎ブロッコリーは、ブロッコリーとカイランの交配種、11月~4月ころ出荷されるアレッタは、ブロッコリーとケールの交配種です。カリフラワーやロマネスコも広い意味の仲間になります。
栄養成分は
表3のように、ビタミンCや食物繊維が豊富に含まれており、栄養価の高い野菜です。
表3 野菜の栄養成分(可食部100g当たりの含有量、日本食品標準成分表より)
カルシウム mg | 鉄 mg | カリウム mg | ビタミンC mg | 食物繊維 g | |
ブロッコリー | 50 | 1.3 | 460 | 140 | 5.1 |
カリフラワー | 24 | 0.6 | 410 | 81 | 2.9 |
キャベツ | 43 | 0.3 | 200 | 41 | 1.8 |
トマト | 7 | 0.2 | 210 | 15 | 1 |
イチゴ | 17 | 0.3 | 170 | 62 | 1.4 |