JA東京みどり 金融機関コード:5072

HOME > 広報誌 みどり > 2024 春号 Vol.127

2024 春号 Vol.127

営農レポート

花卉栽培における天敵農薬の導入事例について

花卉類の生産では、美しい外観が重視されるため病害虫防除の徹底が求められます。一方で農薬の使用回数が多くなると、微小な害虫の薬剤抵抗性の発達が問題となります。そのため、化学合成農薬だけに頼らない病害虫防除が重要で、野菜だけでなく花卉でもその技術を活用することができます。北多摩地域で、鉢花について天敵農薬を使った害虫防除を行い、その結果をまとめたものをご紹介します。

実施概要

品目 ガーベラ
天敵農薬 スワルスキープラスUM
(スワルスキーカブリダニ剤)
設置日 2023年3月22日
設置量 14㎡(1ベンチ)に6パック
その他 3月14日アファーム乳剤を散布
4月4日ベストガード水溶剤を散布
写真1 天敵農薬を設置した様子
写真2 天敵のカブリダニ類
写真3 害虫のアザミウマ類

結 果

3月28日と4月11日に、葉をはたき落として調査したスワルスキーカブリダニ(天敵)は0頭でしたが、目視によって葉上に生息が確認されました。放飼が適切に行われたことを確認しました。
 4月19日~25日にアザミウマ幼虫の頭数がわずかに増えましたが、天敵を放飼しなかった他の圃場ではアザミウマが多く確認されており、この圃場では少なく抑えられていました。
 従来は、アザミウマやハダニの防除を3回以上行っていましたが、スワルスキーカブリダニの導入により防除回数は放飼前とアブラムシとの同時防除の計2回に減りました。また、被害が少なかったことで出荷時期を約1か月早めることができました。

図 スワルスキーカブリダニ(葉100枚当たり)とアザミウマ(1鉢当たり)の推移

天敵農薬の導入にかかる費用について

天敵農薬を導入することで増加する費用と減少する費用は表の通りです。天敵農薬は、慣行の化学合成農薬に比べて高価です。そのため、農薬代は増加しました。
 一方、害虫の防除に成功したことで出荷時期を約1か月早めることができ、母の日の需要に合わせてガーベラを出荷することができました。これまでは、アザミウマの被害によって次の健全な花蕾が出て来るまで待たなければなりませんでした。このように取引価格が高い時期に出荷できることで、1鉢当たりの単価が上昇すれば天敵農薬導入によって増加したコストを回収することが可能です。また、早期出荷によって灌水や防除などの作業が必要なくなり、労働時間の削減につながります。

まとめ

天敵農薬のスワルスキーカブリダニを導入することで約1か月間アザミウマを抑制できました。これにより薬剤による防除回数の削減と出荷時期の前進ができました。出荷時期の前進によって販売単価が向上しました。
 課題は、栽培期間中アブラムシが徐々に増えたことです。被害が発生するおそれがある場合はスワルスキーカブリダニに影響の少ない薬剤を選び、散布する必要があります。
 天敵農薬は生きた天敵を使用するため、天敵に影響の少ない農薬の選択など慣行防除とは違った技術が求められます。導入を検討される際はJAまたは普及センターまでお問合せください。