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2023 秋号 Vol.125

営農レポート

広がる援農ボランティア

農業者の減少や高齢化による担い手不足が問題となっています。一方で、新たな農業の支え手として、消費者である都民が農作業を手伝う援農ボランティアが導入されています。

援農ボランティアのいろいろ

都内の援農ボランティアは、運営する機関や団体により、大きく次の4つに分類されます。

  1. 1 区市町村が運営する援農ボランティア
  2. 2 (公財)東京都農林水産振興財団が運営する「広域援農ボランティア」
  3. 3 NPO等の団体が運営する援農ボランティア
  4. 4 その他(農家が自ら集める援農ボランティア、学生による援農など)

1は市役所等が事務局となり、区市町村内の農家にボランティアを派遣する取組です。独自の研修制度でボランティア養成を行っている区市町村もあり、(公財)東京都農林水産振興財団主催のボランティア養成事業「東京の青空塾」に参加している場合もあります。
2は(公財)東京都農林水産振興財団が事務局となり、援農ボランティア制度のない区市町村の都民も農作業に参加し農業に親しむ機会を設け、東京農業を支援するための事業です。都内の全区市町村の住民、また、他県住民も参加対象となっています(後述)。
3は都内のNPO等の団体が農家とボランティア双方を会員として登録し派遣しているものです。これらの団体の中には、独自の研修を行ってボランティアの農作業技術を高め、有償で派遣を行う所もあります。
4は、農家が知り合い、近隣住民、消費者等に手伝いを頼んだり、手伝うという申し出から定期的なボランティアに繋がった等が挙げられます。また、学生が、農業を学ぶサークル・ゼミや大学のボランティアセンターに所属し、活動の一環として援農を行う事例もあります。

援農ボランティアの受け入れに当たって

援農ボランティアに参加する動機は、社会貢献したい、東京農業を応援したい、園芸や自然が好き、身体を動かしたい、など様々です。農作業経験や体力にも個人差があります。
援農ボランティアの導入を検討する際は、自分の経営に合っているかを考慮し、来る人に合った作業や対応を行うよう心がけましょう。
受け入れに当たっては、ボランティアに行ってほしい作業を日程調整しておくと効率的です。開始・終了時間、活動時間内での作業配分も考えます。作業の内容や意味を、一緒に作業をしながら説明することも重要です。初めてその農家に参加するボランティアには、農家全体の紹介や、安全面など守ってほしいルールを説明します。他の農家で作業経験がある人でも、我が家はこの方法であるということをよく説明し、理解を得るようにしましょう。
暑さ・寒さ・雨天時の対策や水分補給、休憩時間や場所、トイレや着替え、手洗い場をどうするかも考慮します。多くの団体は派遣する人を「ボランティア保険」に加入させて、活動中のケガや物損を補償しています。農家独自で募集する場合もボランティア各自を加入させる事が望ましいです。保険会社や社会福祉協議会を通じ、年数百円で加入できます。
援農ボランティアを受け入れることのメリットは、人手が増え農作業が進むことはもちろんですが、様々な職種・立場の人と接することで新たな情報や繋がりを得られる、都民に農業への理解を深めてもらえる等の効果もみられます。

写真1 都内の援農ボランティアの活動の様子
(定植作業)
※写真提供:(公財)東京都農林水産振興財団

「広域援農ボランティア」の紹介

(公財)東京都農林水産振興財団が事務局を務める広域援農ボランティアは、前述のように、主に都市部住民に対し農作業参加と農業への理解を深める機会を設け東京農業を支援する活動です。新規登録人数は年々増加しており、令和4年度は1,808人が登録しています(図1)。派遣回数は、都内数十軒の登録農家に対し令和4年度に3,889回と飛躍的に増え、都民の農業への関心の高さがうかがえます。
同財団は、広域援農ボランティア及び受け入れ農家の登録や、活動への応募とマッチングがスマホやパソコンで手軽に行えるWebサイトを開設しています(図2)。受け入れに興味のある方はぜひ同サイトをご覧ください。様々な人がボランティア登録しており農作業経験等は必ずしも一定ではありませんが、大人数を必要とする作業への活用等期待できます。同じ農家で活動を重ねリピーターになる人もいます。登録した人はボランティア保険に加入される仕組みです。また、同財団は、「受入環境整備支援事業」を実施していて、受け入れ農家がボランティアの使う休憩用ベンチ、ロッカー、簡易トイレ等を購入した際に一定額を補助し、受け入れやすい環境作りを支援しています。

図1 広域援農ボランティアの新規登録人数の推移
※データ提供:(公財)東京都農林水産振興財団

まとめ

ボランティアは自発的な活動であり参加者が楽しく作業できることが重要です。農業の知識や農家の様子を知って喜びを感じる人も多く、楽しく活動することが作業効率向上やリピーター化にもつながります。今後、援農ボランティアが担い手不足の一助となり、東京農業への一層の理解が深まることが期待されます。