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2023 夏号 Vol.124

税務・法律・年金相談

相続土地の登記制度義務化と国庫帰属制度の概要

1.相続した土地の登記が義務付けられます

相続によって取得した土地の所有権は、物権変動の一般原則にしたがい、登記によって公示されます。しかし、わが国では、登記はあくまでも第三者に対する対抗要件に過ぎず(民法177条)、相続で取得した土地を登記をすることは長らく義務ではありませんでした。そのため、登記手数料の負担軽減の慣行などもあり、登記をしない人が多く、登記簿を見ても所有者がわからない土地が多数生じていました。こうした所有者不明土地が増えると、公共事業や防災・復興事業、土地取引などで支障が生じかねません。そこで、第204回通常国会で、いわゆる所有者不明土地の解消に向けた民法・不動産登記法の改正が行われました。

2.制度概要

(1)相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行)
まず、相続(遺言による場合を含む)により不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3 年以内に相続登記の申請をしなければなりません。また、遺産分割協議の成立により不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないこととされました。なお、正当な理由(相続人多数で資料収集に時間を要する、遺言の有効性が争われている、相続人が重篤な病気である等の理由)がないのにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。この制度は令和6年4月1日から施行されます。
(2)相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)
しかし、中には相続により取得した土地の所有権を放棄したい場合もあります。そのような事態に備えて、既に令和5年4月27日より、相続土地国庫帰属制度がスタートしました。これは相続により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度で、国庫に帰属された土地は、普通財産として、国が管理・処分することになります。相続によって土地の所有権を取得した相続人であれば誰でも申請できますが、土地が共有である場合は、共有者全員で申請する必要があります。

3.実務上の留意点

(1)相続登記のする場合の留意点
①施行日は前述の通り令和6年4月1日ですが、遡って適用されますので、施行日以前に相続で取得した土地の所有権についても申請義務が生じます。
②期限内に申告することが困難な人のために、相続人の名前と相続した事実のみを申告する「相続人申告登記」という制度も同時に施行されます。しかし、この申告をしても過料を回避できるだけで、不動産の相続人が所有者であることを公示するためには、後日、あらためて相続登記を行う必要があります。
③手続は、相続証明書の作成、登記申請書の作成、法務局への申請、登記識別情報の受領、と定型化されています。ただし、相続の順位、遺言の有無、遺産分割協議の有無、などによって、用意すべき資料が異なるので都度注意が必要となります。

(2)国庫に帰属させる場合の留意点
①国庫帰属の対象として放棄できる土地は、通常の管理又は処分にあたり過大な費用や労力を必要としない土地に限られます。たとえば、建物・工作物・車両等がある土地、担保権など他人の権利が設定されている土地、土壌汚染がある土地、断崖絶壁などの危険な土地、などは国庫帰属の対象とはなりません。
②制度の開始前に土地を相続した人でも申請できますが、売買等によって土地を取得した人や法人は対象となりませんのでお気をつけください。
③国庫に帰属させるには、審査手数料の他、負担金(10年分の土地管理費用相当額)を納付する必要があります。

なお、相続には税務問題が派生することも多いため、トラブルを未然に防止するためにも、司法書士法人と提携する弊社へお気軽にご相談ください。