2022 夏号 Vol.120
営農豆知識
ナスの果実に発生する虫害・生理障害
ナスは6月から10月の霜が降りるまで収穫が続き、長い生育の間には、様々な病害虫や生理障害が発生します。今回は果実に発生する虫害や障害をいくつかご紹介します。
1.主な虫害・障害
2.各障害の症状・原因
障害果名 | 症状 | 原因 |
---|---|---|
チャノホコリダニ | 成長点に寄生すると芽の成長が止まり、へたや果実は白っぽくなりサメ肌状になる。 | 夏の高温乾燥で多発しやすい。 |
オオタバコガ | 果実に穴があく。 | 幼虫が果実に穴をあけて、内部に侵入して食い荒らす。 |
アザミウマ類 | 果実やヘタが食害されて褐変し、生長に伴って褐変部がのびる。 | アザミウマ類による果実やヘタ部の加害。 |
がく割れ果 | 果実のへたの部分から裂けている。 | 果実の肥大と果皮の硬化のバランスが崩れたときに起こる。 |
チャック果 | 果実の表面にスジが入る。 | おしべが子房に付着したまま肥大しておしべのあとがチャック状に残ったもの。低温、多水分、多肥で発生しやすい。 |
つやなし果 | 果皮につやがなくなり固くなる。 電球型の不良果になる場合もある。 |
株が大きくなり水分が不足した場合で、成り疲れや梅雨明けの高温乾燥で株が弱ると多発する。 |
着色不良果 | 果実の色がうすい赤紫色になり、ナス特有の黒紫色にならない。 | 果実が葉のかげになったり、日照不足で光線が十分あたらない場合。 |
すれ果 | 果実の表面にキズがついて変色する。 | 果実の肥大中に風などで葉や枝とすれて、キズがついて変色したもの。 |
石なす果 | 皮が固くて光沢のない小さな果実となる。 | 低温や水分不足で、受精が不完全な場合に発生。 |
舌出し果 | がくの下あたりから突起が出る。 | 低温、多肥、多かん水により、花芽が栄養過剰になったときに発生。 |
裂果 | 果実が割れる。 | 乾燥、過湿を繰り返した場合。 |
3.対策
虫害は早期発見、早期防除を心がけてください。各種の障害果は、気温、水分、日照、肥料などの過不足による場合が多いので、樹勢を良好に保ちながら、順調に生育させることが大切です。