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2022 春号 Vol.119

税務・法律・年金相談

「消費税の大改正!インボイス制度は早めの対応を!」

〔はじめに〕

来年10月1日より消費税の新制度「インボイス制度」が始まります。
この制度は現在消費税の申告義務のない事業者(免税事業者)も対応を「必ず」検討しなければならないという点で、非常にやっかいな改正です、それではインボイス制度の概要をご紹介していきましょう。

Ⅰ インボイス制度って何?
  • インボイス=適用税率や税額の記載を義務付けた請求書等で、従来の請求書等より、記載すべき事項が多くなります。
  • 上記事項の記載がある請求書等を「適格請求書」と呼びます。
  • インボイス=適格請求書です(英語か日本語かの違い)
  • インボイス制度ではこの「適格請求書」によって消費税を計算し納付します。
  • 請求書の記載事項が多くなったのは大した変更点ではなく下記の3点が重要な変更点です。
    1. インボイスを発行するためには、適格請求書発行事業者として登録する必要があります(登録すると登録番号が発行されます)
    2. (1)に登録した免税事業者は「必ず課税事業者」となりますので、消費税の申告が必要になります。
    3. インボイスを発行できない事業者からの仕入に係った消費税は「仕入税額控除」ができなくなります。
    Ⅱ 仕入税額控除とはどのような仕組み?
  • 仕入税額控除とは、売上にかかる消費税から、仕入にかかる消費税を控除する、消費税の計算方法の仕組みです。
  • 課税事業者は原則として、イラストの事業者Bのように消費税を計算して税金を納付することとなっています。
  • ※仕入税額控除のイメージ
    Ⅲ 免税事業者は登録しなかったらどうなるの?
  • 免税事業者が適格請求書発行事業者として登録しない場合、取引先にインボイスを発行できません。
  • インボイス制度開始後、取引先は免税事業者に支払った仕入代金に係る消費税は仕入税額控除出来ません。(一定期間の経過措置はあり)
  • 上記イラストの例では、事業者Bの納税額がインボイス制度開始前後で6万円もアップしてしますので、免税事業者は消費税分の値引きを要求される可能性があります。
  • 免税事業者は登録しなかった場合のデメリットと、登録した場合の消費税の負担を天秤にかけ、登録するかどうかを事前に検討する必要があります。
  • ※インボイス制度開始後の仕入税額控除のイメージ
    Ⅳ 適格請求書の記載事項

    適格請求書の記載事項は下記のとおりです。

    (1)一般の売上の場合(赤字が注意すべき記載事項)

    1. ①売上先の氏名又は名称
    2. ②取引年月日
    3. ③税率毎に区分して合計した対価の額及び適用税率
    4. ④発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
    5. ⑤取引内容(軽減税率対象の場合はその旨)
    6. 税率ごとに区分した消費税額

    (2)口座振替(振込)による不動産賃料の場合(契約書と通帳のセットでOK)

  • 次の事項を記載した契約書
    (貸主主導で対応する必要あり!)
    1. ①適格請求書発行事業者の氏名又は名称
    2. 登録番号
    3. ③取引内容
    4. ④取引金額に対する消費税額等及び適用税率
    5. ⑤借主の氏名又は名称

    ※ 登録事業者はインボイス制度開始前に契約書を変更する必要がありますので、早めの対応を!

  • 取引年月日と取引金額が記帳された通帳
    (借主の通帳なので貸主は対応必要無し)
  • Ⅴ 適格請求書発行事業者登録制度について
  • 適格請求書を発行する為には「適格請求書発行事業者の登録申請書」に所定の事項を記載し所轄税務署へ提出する必要があります。
  • 申請書は国税庁のホームページにてダウンロード可能です。申請にあたっては下記2点にご注意ください。
    1. 提出期限に注意!
      インボイス開始と同時に適格請求書発行事業者となるための提出期限は令和5年3月31日です、ご注意ください。
    2. 提出先に注意!
      書面で提出する場合には郵送での申請が推奨されております(所轄税務署へ持ち込むことも可能)
      郵送で提出する場合、郵送先が下記となりますのでご注意を!
      宛先:東京国税局インボイス登録センター
      送付先:〒262-8514 千葉市花見川区武石町1-520
    〔さいごに〕

    文字数の関係で概要のみのご紹介となってしましましたが、免税事業者のインボイス制度への対応は、個々の状況によって全く異なりますから、「必ず」専門家に相談し対応方法を検討しましょう。
    課税事業者は迷わず期限内に登録し、早めの準備を進めておきましょう。