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2021 秋号 Vol.117

営農レポート

「東京おひさまベリー」を紹介します! ~おひさまいっぱい 旬にいただくイチゴです~

東京おひさまベリーロゴ

東京都では、(公財)東京都農林総合研究センター等で、都オリジナルの新品種開発を行っています。今回はその中から、「東京おひさまベリー」を紹介します。

東京おひさまベリーロゴ

「東京おひさまベリー」とは

「東京おひさまベリー」は、東京都オリジナルの露地栽培用イチゴです。本品種は約20年の歳月をかけて開発されました。施設整備が必要ないため、露地栽培中心の生産者でも、人気品目のイチゴに取り組むことが可能です。

東京おひさまベリー

特徴は、露地栽培の主要品種であった「宝交早生」に比べ草勢が強く、味は甘みと酸味のバランスがよく、独特の芳香があり、果肉が中まで鮮やかに赤いことです。「宝交早生」よりしっかりとした果実となっておりますが、施設栽培用イチゴより柔らかく傷みやすいため、収穫後の取扱いには注意が必要です。

東京都では「東京おひさまベリー」の普及に向け、現地での試験栽培や、加工品の試作、販売イベントの開催等を行ってきました。普及センターでも、肥培管理や病害虫防除等、施設栽培とは異なる技術上の問題について生産者指導を行ってきました。

東京おひさまベリー

「東京おひさまベリー」の育て方

① 連作を避け、萎黄病などの土壌病害が発生していない通気性・排水性の良い圃場を選びます。

② 基肥を施用し、幅70cm~80cmのうねを立てます。

③ 10月中旬以降に定植します。株間25cm~30㎝の2条千鳥植えで、株元のクラウン部分を土に埋めないよう、浅めに定植します。

④ 追肥は11月中旬と2月下旬に、うねの中央と肩に施用します。

⑤ 2回目追肥後の3月上旬に、古葉や枯葉を取り除きます。次に株の上から黒マルチを張って、ハサミでマルチに穴を空け、葉を傷つけないよう一株ずつ丁寧に取り出します。

⑥ マルチ設置後、通路部分に敷き藁や防草シートを張り、泥はねを防止します。

⑦ 開花後30~35日程度で着色します。果実が色づく前に、鳥や獣による食害を防ぐために防鳥網を張ります。網の隙間からの侵入を防ぐため、網の端はしっかりと固定します。

⑧ 灰色カビ病、アブラムシ類、ハダニ等による被害が発生しないよう、古葉や枯葉をこまめに取り除き通気性を確保するとともに、早めの防除を心がけます。

育て方イラスト

  資材・
肥料名
施肥量
(kg/10a)
成分量(kg)
窒素 リン酸 カリ
基肥 推肥

2,000

     
苦土石灰 200      
化成8号 50 4 4 4
有機配合 50 4 4 4
重焼燐2号 50   17.5  
追肥① NK化成2号 25 4   4
追肥② NK化成2号 25 4  

4

【注意点】

  • 定植前にマルチを張ってしまうと、地温が下がらず、花芽が出にくくなります。
  • 定植時期が早すぎると花芽分化が鈍る場合があります。
  • 窒素の肥効が強いと過繁茂になり収量が低下します。肥料分が残っている圃場では、施肥量を減らします。

「東京おひさまベリー」の活用方法

「東京おひさまベリー」は収穫が短期間に集中し、収穫期後半は小粒の果実が多くなります。果実としての販売が難しい場合は、ジャムやソース等の加工品に活用することをおすすめします。「東京おひさまベリー」は赤い色が鮮やかに出やすいこと、甘みと酸味のバランスが良いこと、独特の芳香があることから、加工品への適性が高い品種です。スイーツだけでなく、お肉料理に合わせることもできます。なお、冷凍する際は、果実を洗い、へたをとってから、密閉容器に入れて保存してください。

また、「東京おひさまベリー」は農業体験型農園での導入も進んでいます。都オリジナルの新品種であること、本来の旬である5月頃に完熟のイチゴを収穫できるということで、農園のPRに繋がっています。

このように、果実の販売だけではなく、加工や体験の品目として活用することで、消費者との多様な接点を生み出すことができるという点も、「東京おひさまベリー」が持つ魅力の一つです。

「東京おひさまベリー」の苗は、各地の種苗店、ホームセンター等で購入できます。(お取り扱いの無い店舗もあります。)また、東京都農林総合研究センターのホームページには、詳細な写真付き栽培マニュアルも公開されていますので、ご興味のある方はぜひ挑戦してみてください。

販売促進の取組
谷保天満宮・天神米
“東京おひさまベリー”の圃場(収穫後期)