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2021 夏号 Vol.116

営農豆知識

夏まきニンジン ~上手に発芽させるポイント~

夏まきニンジンを上手に発芽させるのは、なかなかむずかしいです。その理由は、タネまき時期が高温乾燥期にあたること、ニンジンのタネがほかの野菜に比べて発芽力、特に吸水力が弱いことです。昨年は、梅雨が長引いて畑の準備やタネまきが遅れたり、8月に入ると一転して高温乾燥が続いたことで、発芽不良や生育初期の高温障害と思われる割れ症状が多発しました。ニンジンは「発芽に成功すれば栽培は成功」、といわれるほどです。以下にポイントをご紹介します。

1.畑の準備は入念に

深く耕して柔らかな土壌にします。不十分だと「また根」の原因になります。堆肥は前作に施用しておき、栽培直前の施用は控えましょう。
センチュウの被害が心配される場合は、D-Ⅾ剤などで土壌消毒しておきます。

2.タネまきから50日間が大切

夏にタネをまいて、秋に根の肥大・着色をさせ、秋冬に収穫する作型です。タネをまいてから根が太り始めるまでの50日間が、特に大切な時期になります。

生育段階
(タネまき後の日数)
生育適温と経過
発芽
(0~10日)
15~25℃。5日で発芽が始まり10日目までには発芽がそろう。
生育前期
(10~50日)
25~28℃のやや高温で進む。本葉7枚となり根長が決まる。
根の肥大
(50~110日)
18~21℃の涼しい気候がよい。肥料の吸収量が多い。
着色
(110~120日)
16~20℃で、やや乾燥気味がよい。

3.タネまきは適期に

温暖化の影響で以前より遅くなっていますが、年内収穫は7月中旬から8月上旬、年明け収穫は8月上中旬が一般的です。早くても遅くてもよくないといわれています。早まきすると、収穫時期は早まりますが、変形や下物が多くなり、遅まきは、根の太りが不十分で着色も悪くなります。

4.発芽を順調にさせるには

かん水することが最も効果的です。タネをまく前または直後と、発芽して本葉4~5枚ころまでを中心に、かん水します。かん水施設のない場合は次の点に注意してください。

乾燥の続く時期にはタネまきしない。

梅雨が明けないうちにまく。

降雨があれば、畑のしめり具合をみて、急いでまく。

早朝や夕方の、畑のしめり具合のよい時刻を選んでまく。

覆土は5㎜~1㎝程度とする。適当な水分があればうすく、乾燥時は少し厚めにする。

乾燥時はタネまき前後に十分に鎮圧する。特にタネまき後はタネと土が密着するよう強めに鎮圧する。

タネまき後に、寒冷紗や遮光資材をべたがけしたり、切りワラやモミガラをかけて、乾燥を防ぐ方法もある。ただし、資材(パスライト、パオパオなど)によっては、発芽を妨げるという報告もあるので注意する。

かん水チューブによる水まき
昨年、発生の多かった割れ症状