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2021 夏号 Vol.116

営農レポート

住宅等に近い農地での病害虫防除のポイント ~地域に愛される農業を営むために~

農産物を安定生産するうえで、農薬の使用は大変有効な手段の一つです。しかし、東京の農地は住宅や学校、公園、病院などと隣接していることが多く、農薬の使用にあたっては周辺への配慮を心掛けることが大変重要です。今回は都市部の農地で農薬を使用する上で注意すべきポイントについて、国が平成25年に策定した「住宅地等における農薬使用について」に基づきご紹介します。

そもそも農薬とはどんなもの?

農薬とは、「農作物を害する病害虫の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、除草剤その他の薬剤、及び成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤」と農薬取締法で定義されています。薬としての「効果」と、農作物や人、動物その他に対する「安全性」についての科学的なデータに基づいて国が登録しており、正しく使えば危険はありません。しかし適正に使用しないと、農産物のみならず周辺の住民や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。農薬を使用する者には、農薬毎に定められた「正しい使用方法」を守る責務があります。

農薬の「飛散」に注意しましょう!

農薬を使用する際に最も注意しなければならないのが、周辺への飛散です。圃場で使用した農薬が周辺に飛び散り、住宅や洗濯物、公園で遊ぶ児童、通りすがりの歩行者等にかかってしまう危険性があります。
農林水産省・環境省は「農薬を使用する者が遵守すべき基準」において、「農薬使用者は、住宅、学校、保育所、病院、公園その他の人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる施設の敷地及びこれらに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するための必要な措置を講じるよう努めなければならない。」としています。農業者が講じるべき措置の例を、4点ご紹介します。

①農薬の使用量・回数を減らす
日ごろから作物をよく観察し、病害虫や雑草の早期発見・早期防除に努めましょう。
農薬以外の様々な方法(病害虫が発生しにくい圃場環境作り・防虫ネットやマルチの使用・こまめな草刈り・害虫の天敵が住みやすい環境作り等)に取り組み、病害虫等による被害を最小限に抑えましょう。

防虫ネットの使用例

②周辺住民へ事前にお知らせする
農薬の散布計画を、十分な時間的余裕をもって周辺住民に周知しましょう。
周知の方法は、口頭で伝える他、通知文を作成して配布や掲示する等、工夫しましょう。

③天候や時間に注意する
散布は、強風や、弱くても風が住宅や道路に向かって吹いている日は避け、なるべく風が無い日に行いましょう。
通学・通勤等で人通りの多い時間帯も避けましょう。

④飛散を抑える工夫をする

●飛散が少ない方法で農薬を使用する
・粒剤等、飛散しにくい形状の農薬を選択する。
・噴霧器の圧力が高すぎると飛散しやすくなるので、適正値に調整する。
・噴霧器のノズルを防除したい箇所に向け、短い距離で散布する。

●飛散を抑える道具や施設を活用する
・従来のノズルより、農薬の噴出口が大きく、霧の発生が少ない「飛散低減ノズル」を使用する。
・果樹園などでは、農薬散布時に閉めて飛散を防止する「防薬シャッター」を設置する。
・防虫ネットや防風ネット、生垣等も農薬の飛散をある程度抑える効果がある。

防薬シャッターの展張