2021 春号 Vol.115
営農豆知識
麦の話
麦は米とともに私たちの食料として最も重要な作物ですが、都内での栽培はごく少面積になってしまいました。今回は、麦の種類や栽培の現状について紹介します。
1.麦の種類と用途
麦の仲間には、小麦、大麦のほかにエン麦、ライ麦、ハト麦なども含まれます<表1参照>。
種類 | 主な用途 | |
小麦 | パン、うどん、菓子 | |
大麦 | 6条大麦 | 麦めし、麦茶 |
はだか麦 | 味噌、麦茶 | |
2条大麦(ビール麦) | ビール、焼酎 | |
エン麦(オート麦) | オートミール、緑肥 | |
ライ麦 | 黒パン、ビスケット、緑肥 | |
ハト麦 | ハトムギ茶、薬用 |
2.小麦の種類
麦類の中で生産量、消費量がいちばん多いのは小麦で、小麦粉から作られたパン、麺類、お菓子などは食べない日がないくらいです。 家庭用に販売されている小麦粉には、強力粉、中力粉、薄力粉の3種類があります。これは含まれているたんぱく質(グルテン)の量や質に応じて分類したもので、製粉方法によるものではなく、原料小麦の違いによるものです<表2参照>。
<表2 小麦の種類>
粉の種類 | 小麦の種類 | 性質 | 主な生産地 | 主な用途 |
強力粉 | 硬質小麦 | たんぱく質が多く、 粘りや弾力性に富む |
アメリカ、カナダ | パン、餃子の皮 |
中力粉 | 中間質小麦 | たんぱく質の量は 中くらい |
オーストラリア、国内 | うどん |
薄力粉 | 軟質小麦 | たんぱく質の量は 少なく、軟らかい |
アメリカ | ケーキ、菓子、 天ぷらの衣 |
3.都内の麦栽培の現状
戦後、パン食など食の欧米化が進んで消費が拡大し、昭和30年代には現在の都内の農地面積に相当する約7,000haの小麦の作付けがありました。その後、輸入小麦の増大や農地の宅地化が進んで、現在の栽培面積は20haとなってしまいました。 一方、東京で育成された麦の品種を復活させ地域振興を図ろうと、東久留米市では「柳窪小麦」、練馬区では「金子ゴールデン(ビール麦)」の栽培に取り組んでいます。 JA東京みどり管内の小麦栽培面積は1ha強で、小麦を使った地域おこしや学校行事のイベントなどでも栽培されています。また、エン麦やライ麦は、冬から春の畑土の飛散防止や土づくりのための緑肥として、利用が増えています。 (栽培面積は東京都資料及び農業センサスによる)