2021 春号 Vol.115
営農レポート
適切な暑熱対策で安全な農作業を!~熱中症に注意しましょう~
1.これからの季節の農作業は熱中症に注意を!
徐々に暖かくなってまいりました。近年は4月中に夏日(最高気温25度以上)を記録することが多いなど、夏以前にも暑い日が多くなっています。これからの季節は熱中症対策が必要です。「自分は暑さに強い!」と自信を持っている方も多いと思いますが、だれでも熱中症になる可能性があります。熱中症は、高温多湿な環境で、体内の水分及び塩類(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能がうまく働かなくなったりする障害の総称です(表1)。
表1 熱中症の主な症状
東京消防庁の発表では、令和2年8月の熱中症による救急搬送人者は4,359名で前年より14%増加しています。全国でも前年より約17%増加しました。なお、熱中症の救急搬送は5月から9月下旬まで報告されています。
2.熱中症を引き起こす原因
熱中症を引き起こす原因は、「環境」、「からだ」、「行動」です。
(1)環境の要因…気温が高い、湿度が高い、風が弱い、など
(2)からだの要因…睡眠不足、持病、体調不良、脱水症状、など
(3)行動の要因…激しい労働や運動など
いずれも、適切な対策で予防できます。夏季の農作業は正しい暑熱対策で、安全に行いましょう。
3.夏季の農作業で注意すべきこと
(1)炎天下の作業には必ず帽子を被りましょう。
直射日光を直接頭に浴びるのは避けましょう。また、家族、雇用する作業者、ボランティアなどにも帽子着用を勧めて下さい。安全に働いてもらい、「作業を終えて、元気に帰宅」が夏季の目標です。
(2)夏季の作業に適した服装を
服装は涼しく、通気性が良いものを選んでください。なお日差しが強い場合、日射が皮膚に直接あたる露出の多い服装は、意外に体力を消耗します。注意して下さい。
(3)体調不良時の作業は、体調の変化に気を付けましょう
体調不良・睡眠不足の場合、暑熱環境下での作業は熱中症の危険が高まります。特に注意し、体調に少しでも異常を感じたら、作業を中止し、涼しい場所に移動して下さい。
(4)しっかりと水分補給をしましょう
屋内外にかかわらず、「喉が渇いた」と感じる前に、こまめに水分補給をしましょう。発汗により体内からミネラル分が失われるため、水よりもミネラル分を含む飲料が望ましいのですが、随時飲水するにはジュース類やスポーツ飲料は糖分がやや高過ぎます。水分補給には市販の経口補水液をご検討下さい。また経口補水液は自分で作ることもできます(表2)。
表2 経口補水液のレシピ(厚生労働省暑熱対策パンフレットより)
- 水
- 1リットル(湯冷まし)
- 砂糖
- 40g
- 食塩
- 3g
- 果汁
- 数滴
なお、大量の発汗時には水分と併せて塩分も補給しましょう。塩分は塩アメが便利です。塩アメはホームセンターやコンビニなどでも販売されています。
(5)こまめに休憩
日陰、涼しい場所で定期的に休憩しましょう。
(6)夏季は一人作業にも注意
高温時、他の人から見えない場所で、一人で作業するときは、必ず居場所を伝えておきましょう。体調不良になった場合の用心をして下さい。
(7)室内作業を涼しく
熱中症は約4割が屋内で起きています。出荷調整などの屋内作業は通風を良くして行って下さい。それでも屋内が高温になる場合は、エアコンの使用もご検討下さい。窓用エアコンは施工の知識がなくとも簡単に設置できます。また涼しい環境は出荷物の鮮度保持にも有効です。