2020 秋号 Vol.113
税務・法律・人事・労務管理相談
新型コロナウイルス感染症による経済支援と税務の取扱い
新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、特別定額給付金などの経済的支援がおこなわれ、税務面での柔軟な取り扱いが示されています。今回はその一部をご紹介いたします。
Ⅰ 持続化給付金農業者の皆さんも対象です!
持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えするために支給するもので、農業者も対象となります。なお、給付金の申請期限は令和3年1月15日(金)ですので、ご注意ください。
POINT
①令和元年の税務申告をした農業者が対象になります。
昨年(令和元年)の事業収入額や所得に関する要件はありません。
②新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、今年のいずれかの月の事業収入が、昨年申告した年間事業収入を12で割った額(平均月収)の50%以下であれば対象になります。
【計算方法】
給付額の算定式は以下の通りです(上限100万円)。
給付額=令和元年の年間事業収入-(申請対象とする月の収入×12か月)
【申請方法】
パソコン・スマホによる「電子申請」が基本ですが、ご自身で電子申請を行うことが困難な方のために、「申請サポート会場」が開設されています。
Ⅱ 給付金等とその税務
①国や地方公共団体からの給付金等に係る課税関係は、以下のとおりです。
【非課税となるもの(例示)】
- 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
- 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
- 特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
- 子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)
- 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金(所得税法9条1項17号)
【課税となるもの(例示)】
- 持続化給付金(事業所得者向け)
- 家賃支援給付金
- 農林漁業者への経営継続補助金
- 東京都の感染拡大防止協力金
- 雇用調整助成金
Ⅲ 税務手続きの取扱い
①申告所得税、個人事業者の消費税、贈与税及び相続税新型コロナウイルス感染症拡大により外出を控えるなど期限内に申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、個別に申請することにより期限の個別延長が認められます。
また、申告期限の延長に関する個別の申請は、申告書の提出の際に、その余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」といった文言を付記するなど簡易な手続で申請を行うことができます。
この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日となります。
②届出や申請などの期限延長
申告以外の届出や申請についても、期限の個別延長の対象となります。例えば、以下の手続も対象です。
- 所得税及び復興特別所得税の更正の請求
- 所得税の青色申告承認申請
- 青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)
- 所得税の青色申告の取りやめ届出
- 純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求
- 所得税の減価償却資産の償却方法の届出
- 所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請
- 個人事業の開廃業等届出
- 財産債務調書の提出
- いわゆる「死亡による準確定申告」における申告・納付
※条件や手続きの詳細につきましては、税務署または税理士にお問い合わせください。