2020 新春号 Vol.110
営農レポート
よい農場を目指して⑤
~ 農作業の計画を立てよう ~
よい農場を目指して、カイゼンの一歩をすすめませんか。よい農場を目指す取組は難しいことではありません。今回は、計画的に農作業を進めるための取組をご紹介します。農場の繁忙期や生産資材の在庫などを管理することで、農作業の無理・無駄を減らすことにつながります。
1 作業スケジュール表を作りましょう
生産している品目数が多くなると、忙しい時期が重なって、防除適期や収穫適期を逃してしまいがちです。せっかく植えた農作物が収穫できなくならないように、年間の栽培品目を書き出し、どのような作業があるか一覧にしてみましょう(表1)。
同じ時期に多くの品目が生産されている場合には、パートや援農ボランティアを確保して人手を増やすなど、無理なく作業が行えるようにしましょう。また、栽培する畑を記入すると、野菜の場合は輪作を計画しやすくなり、病害虫や連作障害の防止につながります。
さらに、畑や品目ごとに例年使用している農薬や肥料、予定している出荷先などを一覧にし、詳細な作業スケジュール表を作成するとよいでしょう。
表1.年間の作業スケジュールの例
2 生産資材の在庫を管理しましょう
使い切れずに期限が切れてしまった農薬や余分な肥料が倉庫に入っていませんか?または、使おうと思っていた農薬や肥料の在庫が無くなり、慌てて買いに走ったことはありませんか?
購入数量と使用数量を記録し在庫チェックを行うことで、買い過ぎや不足を防ぐことができます。年間の使用量が見えるようになるので、予約で大量注文する時にも参考になります。
記帳とあわせて、どこに何が置いてあるかすぐにわかるように、倉庫内の整理整頓も行いましょう。
表2.農薬の在庫管理の例
3 作業記録や出荷記録をつけましょう
残留農薬の検出や異物混入などの問題が発生した時には、原因の特定が求められます。問題が起きた商品がどの畑や作業場で生産・調製されたものなのか、追跡できる必要があります。
農薬や肥料などの使用記録、播種・定植・収穫などの作業記録、出荷先と出荷日の記録をつけ、保管しましょう。JAや、東京都エコ農産物の生産履歴の様式を活用するのも良いでしょう。栽培が終了したら、作業記録や出荷記録を振り返り、翌年の計画へ活用しましょう。
計画を立てたり記録をつけたりすることは、はじめはわずらわしく感じるかもしれません。しかし、文字や数字で明らかにしてみると、新しく気付くことや過去のデータを活用できる場面が出てきます。計画的な農業生産を行い、よりよい農場を目指していきましょう。
これまで5回にわたって『よい農場を目指して』というテーマでカイゼンのポイントをお伝えしてきました。今後も、普及センターでは皆様の農業経営のカイゼンをお手伝いいたします。
様々なカイゼンの積み重ねが『GAP』です。各種GAP認証の取得についても、お気軽にお問い合わせください。
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