2019 秋号 Vol.109
営農レポート
よい農場を目指して④
~ 食品の安全を考えよう ~
よい農場を目指して、カイゼンの一歩をすすめませんか。よい農場を目指す取組は難しいことではありません。今回は、食品の安全を守るための取組をご紹介します。食品の安全を脅かす主な原因として、農産物の微生物による汚染や異物の混入、出荷用資材の汚染があります。
1 微生物による汚染
サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌O-157などの病原微生物による食中毒事故が、国内外で発生しています。このような事故を未然に防ぐために、火を通さずに生食する可能性のある野菜・果物の取扱いには、特に注意が必要です。
有害な微生物は土中や水中、人や動物の腸の中などに住んでいます。畑での作業やトイレの後、手洗いを十分しないで農産物を取り扱うと、その農産物が有害な微生物に汚染される可能性があります。農産物を汚染から守るためにルールを定め、農場の職員全員が守ることが大切です。また鳥等の小動物が病原微生物を運んでくる場合もあるので、これらが農産物に近付かないようにしましょう。
- 良い手洗い場の例
- ネットを張って小動物の侵入を防止
2 農産物への異物混入
農産物に混入しやすい異物には、金属片、ガラス片、タバコの灰・吸い殻などがあります。出荷調整作業に用いたハサミや包丁が混入すると、大きなケガに繋がりとても危険です。毛髪が混入すれば、消費者に著しい不快感を与えてしまいます。異物の混入は消費者からの信頼の喪失につながり、場合によっては商品を回収処分しなければならず、生産者には大きな損失になってしまいます。
出荷物への異物混入を防ぐには、出荷調整施設を整理整頓し、異物が混入する可能性を可能な限り低くすることが大切です。また、照明を明るくして混入した異物をすぐに発見できるようにする等、作業環境を整えることも重要です。
3 出荷用資材の汚染
「食品の安全」には「食品自体の安全」はもちろん、「食品の出荷に使用する資材の安全」も重要です。段ボール等の出荷用資材が農薬・肥料・燃料等により汚染されると、中の農産物も汚染されてしまいます。汚染が起こらないよう整理整頓を心がけ、適切に保管することが重要です。
- 安全な食品を食卓に届けるために、日頃行っている取組に加えて、注意すべき事項について、再度ルールを確認し、実践、点検、改善を行い、よりよい農場を目指していきましょう。