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2015 秋号 Vol.93

営農レポート

資材を活用した物理的防除法
~「サンサンネット®e-レッド」によるアザミウマ類の防除対策~

難防除害虫として知られる「アザミウマ」や「コナジラミ」は、食害や吸汁による直接的な加害だけでなく、ウイルス病を媒介することで収量を激減させる厄介ものです。北多摩地域では、コマツナやホウレンソウの生産量が多いことに加え、最近では施設トマト等の栽培が増えてきており、これらの害虫の防除に頭を悩ませている方も多いと思います。今号では、東京都内で導入され始めている「サンサンネット®e-レッド」による、アザミウマ類に対する防除効果についてご紹介いたします。

農産物への害虫被害は、高温・乾燥条件が続くと多発傾向となります。本年の5~6月は例年にない高温条件となったことから、アザミウマ類の発生が極めて多く、コマツナのシルバリングやホウレンソウの萎縮、トマトの白ぶくれ果などの被害が多発しました。

  • コマツナのシルバリング コマツナのシルバリング
  • コマツナの萎縮 コマツナの萎縮
  • ホウレンソウの萎縮 ホウレンソウの萎縮
  • トマトの白ぶくれ果 トマトの白ぶくれ果

「サンサンネット®e-レッド」の防除効果を確認するため、展示ほを設けて5月下旬播種のコマツナに播種時からトンネル被覆を行いました。その効果を、トンネル内部に設置した青色粘着板で捕獲したアザミウマ類の頭数で比較しました(図参照)。
調査期間中における「無被覆」の捕獲頭数を100%とすると、「ソフライト(通常の白色のもの)0.6mm目合い」で33%、「e-レッド0.8mm目合い」で9%、「e-レッド0.6mm目合い」で7%に減少していました。この結果から、「サンサンネット®e-レッド」のアザミウマ類侵入抑制効果が極めて高いことが確認できました。

図 青色粘着板で捕獲したアザミウマ類の頭数

アザミウマ類の捕獲頭数

今回の展示ほでは、農家の慣行に合わせて農薬散布による防除を行っています。また、アザミウマ類の防除には、圃場周辺の雑草や残渣の除去なども効果的とされています。
アザミウマ類のような難防除害虫に対しては、農薬や資材だけでは十分な防除効果が得られません。複合的な防除対策を講じることで、農産物の安定生産を実現しましょう!