2014 秋号 Vol.89
営農レポート
難防除害虫の対策
~資材を使って効果的な防除を~
難防除害虫として知られる「アザミウマ類」や「コナジラミ類」は、食害や吸汁による直接的な加害だけでなく、ウイルス病を媒介することで収量を激減させる厄介ものです。北多摩地域でも施設トマト等の栽培が増え、これらの害虫の防除に頭を悩ませている方も多いと思います。効果的な防除を行うためには、発生初期を見極めることが重要です。
ポイント1:害虫の好む色
昆虫には、特定の色彩に誘引反応を示す種類がいます。幸いにも「アザミウマ類」は青色に、「コナジラミ類」は黄色に誘引されるという習性があります。これらの色の付いた粘着板をトラップとして施設内に設置し、定期的に観察することで、施設内の害虫の発生状況を知ることができます。
ポイント2:トラップの設置方法
市販の粘着板を、施設内に数箇所設置します。必要に応じて下の写真のように、施設内に害虫が侵入する際の通り道となる出入口付近や、害虫のエサとなる花や果実、若い葉の近くに粘着板を多めに設置することで、害虫の発生初期を知ることができます。
ポイント3:調査は欠かさず!
1日1回はトラップを確認することで、発生初期の把握に努めてください。ウイルス病を媒介する「アザミウマ類」や「コナジラミ類」などの害虫は、捕獲を確認次第、早期に薬剤防除を実施するようにしてください。害虫の「早期発見」と「早期防除」は、被害を拡大させないために非常に大切です。
まだ粘着板によるトラップを実施していない方は、この機会にご活用ください。
次に「粘着板」以外にも、効果的な防除が可能となる資材とその活用法をご紹介いたします。
資材その1:防虫ネット
防虫ネットの利用は、物理的防除法として非常に有効な手段ですが、対象とする害虫により目合いが異なります。以下の表を参考に適切な目合いのものを選択しましょう。
ネットの目合い | 害虫の種類 |
---|---|
2~4mm以下 | オオタバコガ、ハイマダラノメイガ、アワノメイガ、カブラハバチ |
1.0mm以下 | コナガ、アオムシ、ヨトウムシ類 |
0.8mm以下 | キスジノミハムシ、アブラムシ類 |
0.6mm以下 | ハモグリバエ類 |
0.5mm以下 | アザミウマ類 |
0.4mm以下 | コナジラミ類 |
- 【注意点】
- 目合いが細かいほど通気性が悪くなり、高温障害が発生しやすくなりますのでご注意ください!
・難防除害虫を防除するためのトンネルは、防虫ネットの裾を土に埋め、隙間を作らないことが重要です
・最近では、赤色の防虫ネットが「アザミウマ類」の防除に効果があると言われています
資材その2:紫外線除去(UVカット)フィルム
紫外線を除去できるフィルムを使用することで、「アザミウマ類」や「コナジラミ類」の活動を抑えて、外部からの飛び込みを減少させることができます。また、病気についても「灰色かび病」や「菌核病」の発生を抑えることができます。
- 【注意点】
- ナスや一部の花き類など発色に紫外線を必要とする品目では、着色不良の原因となります。また、受粉にミツバチを利用するイチゴなどの品目では、ミツバチの活動も抑制されるので注意が必要です。
資材その3:気門封鎖剤(粘着くん、エコピタ、サンクリスタル、アカリタッチなど)
気門封鎖剤とは、薬剤が害虫の気門を塞ぐことで窒息死させる農薬で、薬剤抵抗性を発達させる恐れが低いものです。薬剤抵抗性が発達しやすい「コナジラミ類」や「ハダニ類」では、殺虫剤の系統別ローテーション散布の中に気門封鎖剤を取り入れることが効果的です。
- 【注意点】
- 「アザミウマ類」の防除には効果がありません。気門封鎖剤は害虫に直接かからないと効果が無いため、丁寧な散布を心掛けてください!
まだこれらの資材を使用されていない方は、ポイントと注意点を参考にして是非ご活用ください。