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2018 秋号 Vol.105

営農レポート

キュウリのドリン系農薬対策
~ 土を使わない、土中埋設型隔離栽培 ~

ドリン系の農薬は使用禁止から40年以上経ちましたが、現在も土壌に残留し、作物に吸収されることがあります。ウリ科野菜はドリン系農薬を吸収しやすく、ドリン系農薬が残留している可能性がある畑では、ウリ科野菜を栽培できない現状があります。ウリ科野菜の中でも特にキュウリはドリン系農薬を吸収しやすいので注意が必要です。
今回は、直売所で人気品目のキュウリを安全に、安心して栽培するために、土を使用しない栽培方法である「土中埋設型隔離床栽培」を現地に導入したのでご紹介します。

ドリン系農薬(アルドリン、エンドリン及びディルドリン)とは・・・

  • 昭和30~40年代に多く使用された有機塩素系農薬です。
  • 毒性・残留性が高いため、昭和46年から50年までの間に販売及び使用が禁止されました。
  • 農作物のドリン系農薬が食品衛生法に基づく残留基準値を超える事例が近年も確認されています。
  • ウリ科野菜はドリン系農薬を吸収しやすい特徴があります。

ドリン系農薬が検出されたほ場は・・・

ウリ科野菜の栽培ができない!

土中埋設型隔離栽培

(1)隔離床設置【経費:約31万円(200㎡)】用いた資材は順に、以下のとおり

  • ●ヤシ殻
  • ●防根透水シート
  • ●保水マット
  • ●灌水チューブ
  • ●散水タイマー(水分センサー付)
  • ●白黒ダブルマルチ

土中埋設型隔離栽培
培養土(ヤシ殻)の充填作業

結果

(1)収量・売り上げは以下の表1の通りであり、年間の収量は慣行(土耕栽培)栽培とほぼ同等であった。

作型 可販収量(㎏) 売り上げ(円)
半促成 750.0 375.000
抑制 344.4 172.200
合計 1094.4 547.200
  • 栽培中のほ場の様子栽培中のほ場の様子
  • 収穫期を迎えたほ場の様子収穫期を迎えたほ場の様子

土中埋設型隔離栽培を導入することで

ドリン系農薬の残留のため土耕栽培ではキュウリ栽培が行えない農家が

キュウリ(ウリ科野菜)の栽培が可能に!

直売型の経営が多いJAみどり管内において、直売の主力品目のキュウリが栽培できる事は、メリットが大きい。

ドリン系農薬の残留のためキュウリ栽培を諦めている方は、新技術を導入して、キュウリ栽培を始めてみませんか?

詳しくは、中央農業改良普及センターまで