2017 新春号 Vol.98
税務・法律・人事・労務管理相談
所得税の扶養控除・・・・・・正確に理解していますか?
確定申告の時期が参りました。お子様や、お孫さんを扶養親族として、扶養控除を受けている方も多いと思います。そこで所得税における扶養控除は、どの様なものか、特にお子様やお孫さんを対象におさらいをしてみましょう。
扶養控除を理解する上で大事になってくるのが、『扶養親族』と『控除対象扶養親族』という言葉です。この言葉を理解することが出来れば簡単に扶養控除を理解することが出来ます。
(1)扶養親族
扶養親族とは、その年の12月31日の時点で、次のすべての要件に当てはまる人です。
- 6親等内の血族及び3親等内の姻族であること(例)子、養子、孫
- 生活の財布が一緒であること(同一生計であること)
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
一般的に、扶養親族とは、同居している子供を指しますが、生計が一であればよいので、同居していなくても、仕送りなどをして養っている状況であれば扶養親族となります。
(2)控除対象扶養親族
控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。
(3)扶養控除
所得税法上の『控除対象扶養親族』となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。
16歳以上で、バイト代が1月~12月の一年間で103万円以下であれば、扶養控除が受けられるというイメージを持っておくと良いと思います。
最近の事例では、確定申告をした後に、税務署から、お子さんを扶養控除していますが、出来ませんから、修正申告してください、というものが増えてきました。事実、子供は親にいちいちアルバイトでいくら稼いだ、という報告はまずしません。しかし、お子さんのアルバイト先の事業所から、税務署はお子さんの所得を知り得ることが出来ます。そこで、この様な指摘が増えてきているのです。学生さんの場合の注意点は下記の通りです。
- 学生で年間の給与が103万円以下の場合
- 所得税はかかりません(学生自身の税金はゼロ)
- 扶養控除を受けることが出来ます。
- 保険の扶養は外れません。そのため、学生自身が、保険料を支払う必要はありません。
- 学生で年間の給与が103万円以上130万円以下の場合
- 所得税はかかりません。(学生自身の税金はゼロ)
- 扶養控除を受けることは出来ません。(給与が103万円以下でなければ受けられません)
- 保険の扶養は外れません。そのため、学生自身が、保険料を支払う必要はありません。
- 学生で年間の給与が130万円超の場合
- 所得税が発生します。(学生自身が払う所得税です)
- 扶養控除は受けることが出来ません。
- 保険の扶養は130万円超から外れてしまうため、学生は、国民健康保険料を負担しなければならなくなります。
16歳以上で、給与が1月~12月で103万円以下、かつ、同一生計であれば、扶養控除が受けられますが、就職すれば、年間103万円超を稼ぐことになるはずなので、一般的には、就職をしてしまうと扶養控除は利用できなくなります。