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2017 新春号 Vol.98

営農レポート

パイプハウスの雪害防止対策

平成26年2月は積雪25cm以上を記録した歴史的な大雪となりました。この大雪により多くのパイプハウスが倒壊し、甚大な被害をもたらしました。今回は、雪害による被害を最小限に抑えるために必要な雪害防止対策についてご紹介いたします。

雪の性質

粉雪状の新雪に比べ、湿った雪は比重が約3倍重くなります。例えば、※耐雪強度12kg/㎡の場合、粉雪状の新雪であれば12cmまで耐えることができますが、湿った雪では4cmまでしか耐えられないことになります。平成26年の大雪も夜半から雪がみぞれ~雨に変わったため、比重が重くなりパイプハウスが倒壊した可能性が考えられます。
※耐雪強度:○kg/㎡という数値は、雪の比重が0.1の場合に○cmの積雪に耐える強度を意味します。
(粉雪状の新雪の比重は約0.1)

パイプハウスの耐雪強度

気象庁データによると、東京(大手町)で最深積雪値が20cmを超えたのは過去50年で6回のみであり、30cmに達したのは1回のみです。このことから、20cm程度の積雪に耐えられる強度が必要と考えられます。

耐雪強度の目安となる仕様

間口(m) パイプ径(mm) ピッチ(cm) 推定耐雪強度(kg/㎡)
3.6 19.1 45 16
4.5 22.2 45 18
5.4 25.4 45 21
6.0 25.4 45 17
7.2 31.8 45 24
7.2 25.4 45 25
7.2 42.7 90 45

参考文献:グリーンハウス総合カタログ2014(渡辺パイプ株式会社)

この他にも、カタログスペックの耐雪強度を持つハウスを建設するためには、メーカーの規定どおりに設置する必要があります。また、横倒れを防ぐためにハウスの間隔は最低1m開けるようにします。長い間耐雪強度を保つために、防錆塗装や泥除けの設置などパイプに水や肥料が接しない工夫も効果的です。

パイプハウスの補強

すでに設置したパイプハウスを補強する場合は、以下のような方法が考えられます。

①アーチパイプの補強
3mおきにアーチパイプを31.8mmや42.7mmの太いものに変えたり、アーチパイプ2本をシメツケバンド等の専用金具で結束し、2重にします。
②筋かいの設置
横倒れを防止するなど、ハウス全体の耐力上昇につながります。妻面に設置する以外にも、中間部に筋かいを設置することで強度が増します。
③タイバーの設置
クロス状に2本設置することで、約1.2~2.6倍の強度となります。作業性を鑑みて平行に設置する方法は、約1.1倍の強度となります。

パイプハウスの補強

直前と降雪時の対策

①被覆資材を取り除く
雪が側面に滑り落ちるのを妨げないように、被覆ビニル上面に設置している遮光資材等は降雪前に片付けておきます。
②閉めきって保温する
日中からハウスを閉めきり、太陽熱をハウス内および地熱として蓄熱しておきます。蓄熱した熱の放射により、着雪した雪を速やかに溶かします。
③スノーポールを立てる
耕うんした直後だと土に締まりが無いため、土を踏み固めると共に土とスノーポールの間に板状のベースを挟み込むようにします。
④着雪前から加温する
ハウス内部を4℃以上に保つことで一定の融雪効果が得られます。
(ただし、暖房機の設定温度とは一致しないので注意が必要)
⑤除雪
着雪して展張フィルムがたわむと、斜度が緩くなり滑落しづらくなるため、降雪の最中でもハウスに降り積もった雪は下すようにします。
⑥ハウスに積もった雪への水かけは余計に荷重がかかるため厳禁です。