2013 夏号 Vol.84
税務・法律・人事・労務管理相談
年金の受給で得する方法
■国民年金増額のヒント
今年の4月からいよいよ厚生年金の支給開始年齢が男性は今までの60歳から61歳に引き上げられました。
また、今年の10月から、年金額は一律に1%引き下げることが予定されています。
このような状況ですが、少しでも有利な年金を確保するための方法について考えてみます。
1、国民年金の加入者には第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3種類の区分があります。
今回は主に自営業者や学生が加入者である第1号被保険者を中心に、年金を増額する方法について検討します。
さらに、第1号被保険者(であった者)を、次の3つの年代別に分けて検討を進めることにします。
- (ア)20歳から59歳までの方(保険料を納付すべき方)
- (イ)60歳から64歳までの方(年金の受給を待っている方)
- (ウ)65歳以降の方(年金の受給が出来る方)
2、上記(ア):20歳から59歳までの方について
(1)付加年金に加入する(付加保険料を上乗せして払う)
通常の保険料を納付している時には、付加年金の加入を検討すべきです。
付加年金に加入すると、保険料は月額400円上乗せして支払います。月額400円支払うことで、年金額としては年200円受給出来ます。つまり付加年金は2年間受け取ると元が取れる非常に有利な年金といえます。
(2)保険料の納付免除や納付猶予を利用する
第1号被保険者は通常、保険料の納付義務があります。しかし経済的な理由等で保険料を未納のままにしている場合があります。このような時は保険料の納付免除・納付猶予の利用を検討します。
保険料が未納のままであれば、将来その期間については年金がもらえないだけでなく、受給権が得られず無年金となる恐れもあります。また大きなケガをした場合等には障害年金が受給出来ない恐れが高まります。
一方納付免除を受けていれば免除期間については将来一定額の老齢年金を受けられます。
納付猶予の場合では、猶予期間については年金額には反映されませんが受給資格期間には算入されますので、障害年金を受給出来なくなる恐れや無年金の恐れが低減します。
(3)保険料の支払い方法を選択する
保険料は毎月払いが原則ですが、納付方法には色々な方法があります。
納付方法の選択内容により納付額の割引額が違いますので自分にマッチした有利な納付方法を選択します。
(4)国民年金基金へ加入する
経済的に余裕のある方は国民年金基金への加入が考えられます。
掛け金は若干大きくなりますが、所得税の計算上、掛け金は社会保険料控除できますので税金対策上有利です。また受給時には、公的年金等控除の対象となりますので、この面でも有利です。
(5)過去10年前までの保険料を支払う
国民年金の保険料は通常過去2年前まで遡って納付出来ます。しかし過去10年前までの未納保険料が遡って納付出来る制度が平成27年9月までの間、特例で実施されています。
3、上記(イ):60歳から64歳までの方について
(1)国民年金に任意加入する
65歳から受ける老齢基礎年金の受給額を増やすために、国民年金に任意加入が出来る場合があります。
任意加入は、60歳から64歳までの最大5年間加入可能です。加入手続は市役所でします。
任意加入する時は、先ほどの付加年金にも加入出来ますので付加年金にも同時に加入することが有利です。
4、上記(ウ):65歳以降の方について
(1)年金受給の繰り下げをする
すでに65歳以降の年金を受給している方は該当しませんが、これから65歳になり年金を受給する予定の方は、受給開始年齢を66歳以降に繰り下げる方法が考えられます。
今回は、得する方法についての概略の解説となりましたが、当JAでは定期的に各支店で無料年金相談会を開催していますので、その機会により詳しい相談が出来ますのでご利用下さい。